遺残卵胞と鍼灸施術について

遺残卵胞と鍼灸施術について
猫のみいさん
みいさん

たいへん!たいへん!病院に行ったら大きな卵が残っているから採卵できないと言われたにゃ!困ったにゃ!

猫のしろさん
しろさん

それは心配でしたね。その状態を遺残卵胞というらしいけど一体どういう事なのかしら?

鍼灸師 鈴木
先生

遺残卵胞は周期を見送る必要がありますが、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ!遺残卵胞について解説してみました!

遺残卵胞とは

遺残卵胞(いざんらんぽう)とは、月経が来ても前の周期の卵胞が残った状態を指します。通常の生理周期では、排卵までに卵巣内で複数の卵胞が作られ、その中で最も大きく成長した卵胞(主席卵胞)が排卵します。それ以外の卵胞は閉鎖卵胞となり自然に吸収されます。しかし、遺残卵胞は排卵されなかった卵胞が吸収されずに卵巣内に残る状態です。

特徴

  • 観察時期:月経3日目から5日目に、超音波で卵巣内の卵胞をチェックした際に見られます。
  • 大きさ:およそ10mm以上の大きな卵胞が確認されます。
  • 血液検査の結果:血中エストロゲン(E2)値が高値を示します。月経中に100pg/mlを超えている場合は遺残卵胞の可能性があり、採卵や胚移植のキャンセル率が高くなります。

遺残卵胞の原因

遺残卵胞の原因は不明です。しかし以下に原因となる可能性があります。

  • 加齢
  • ホルモンバランスの乱れ
  • ストレス
  • 排卵誘発剤などの薬の影響

また、残存卵胞数が減少している方(低AMH)は、FSH(卵胞刺激ホルモン)が上昇する傾向があります。その影響で遺残卵胞ができやすくなる可能性があります。

遺残卵胞はなぜ周期を見送るの?

遺残卵胞があると診断されると、新しい卵胞の成長に影響を及ぼす場合が多く、薬でリセットされることが一般的です。遺残卵胞があることで、それを主席卵胞と勘違いし、その周期の正常な卵胞の発育を妨げてしまいます。発育が妨げられることで空胞や変性卵、未成熟卵の可能性が高くなります。また「遺残卵胞自体は採卵出来ないの?」との質問も多くありますが、遺残卵胞自体は前の周期で吸収されるはずの卵胞であるため、卵胞の中に卵子がない空砲の状態であることがほとんどです。
しかし、極稀に遺残卵胞であっても採卵し、そして妊娠に至るケースもあります。基本的には周期を見送る遺残卵胞ですが、高齢や極めてAMHが低い場合には、遺残卵胞であっても卵胞を成熟させて採卵するケースがあります。これは、妊娠の可能性を1%でも広げる観点から治療が行われています。

遺残卵胞の対処方法

遺残卵胞は基本的に自然に次の月経までに消失しますが、まれに消えずに残ってしまう場合もあります。その場合の対処法としては、必要に応じてピルを処方されることがあります。

鍼灸・東洋医学でできる事

鍼灸施術や東洋医学は、遺残卵胞の対策として補助的な役割を果たす可能性があります。鍼灸や東洋医学がどのように遺残卵胞に対してアプローチするかについて説明させて頂きます。

東洋医学でみた遺残卵胞の原因

気血の滞り

  • 血瘀(けつお): 血液の滞りやうっ滞が卵巣や子宮に影響を与え、卵胞の正常な成長と吸収を妨げます。
  • 気滞(きたい): 気の流れの停滞が体内のバランスを崩し、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。

腎虚(じんきょ)

  • 腎の不足: 東洋医学では、腎は生殖機能に深く関わっており、腎のエネルギーが不足すると卵巣の機能が低下します。

肝鬱(かんうつ)

  • ストレスと情緒の問題: 東洋医学では、肝は気の流れを調整し、ストレスや情緒の問題が肝の機能を妨げ、ホルモンバランスを崩すと考えられます。

鍼灸の効果

血流の促進

  • ツボ刺激:鍼灸では特定のツボ(足三里、三陰交、関元など)を刺激することで、骨盤内の血流を改善し、卵巣や子宮への血液供給を増加させます。
  • 温灸:温灸は体を温めることで血流を促進し、卵巣や子宮の環境を整えます。

ホルモンバランスの調整:

  • 内分泌系への影響:鍼灸は内分泌系に働きかけ、ホルモンのバランスを整える効果があります。これにより、卵胞の成長や成熟が正常に行われるようサポートします。
  • ストレス緩和:ストレスはホルモンバランスを乱す大きな要因です。鍼灸のリラクゼーション効果により、ストレスを軽減し、ホルモンの安定化を図ります。

経血の質の改善

  • 血の滞りを解消:鍼灸は「気血の滞り」を解消するため、経血の質を改善し、遺残卵胞の形成を防ぎます。これにより、月経周期が整い、新しい卵胞の成長が促進されます。

具体的なツボ

具体的に使用している経穴(ツボ)の一部をご紹介します。

  • 足三里(あしさんり): 脚の膝下に位置し、消化器系を強化し血流を促進する。
  • 三陰交(さんいんこう): 脚の内側のくるぶしの上に位置し、ホルモンバランスを整える。
  • 関元(かんげん): 下腹部に位置し、子宮や卵巣の機能を高める。

焦らない事が一番大切です!

遺残卵胞と診断され、周期を見送る事になったとしても慌てず焦らない事がとても大切です。不妊治療で卵巣刺激をしていると、遺残卵胞は珍しい事ではありません。まずは焦らずにご自身のお体をみつめ、優しく「卵巣」をいたわってあげることが一番の近道です。たとえ遺残卵胞になったとしても、周期を見送れば多くの方が妊娠に至っております。

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