タバコと不妊治療

はじめに

『百害あって一利なし』とはタバコのことですね。タバコには約400種類の科学物質、約200種類の有害物質、60種類以上の発ガン性物質が含まれています。そして受動喫煙による「副流煙」には、喫煙者が吸い込む「主流煙」よりも数倍から数十倍多くの有害物質が含まれています。つまり夫が喫煙者で、妻が非喫煙者の場合、夫は自身の健康を損なうだけでなく、副流煙を吸う妻へも大きな被害を与えているのです。今回は、その喫煙による不妊のリスクをご紹介いたします。

1.不妊症が増加

タバコの有害物質は精巣や卵巣に集積され、精子や卵子の遺伝子異常や染色体異常を引き起こします。それが、受精率の低下、妊娠率の低下に繋がり、不妊症を増やす原因となります。全不妊症患者の13%が喫煙によるものだというデータもあります。

2.体外受精の成功率低下

カナダの研究では、夫が喫煙者だと体外受精の妊娠率が半分以下になるというデータがあります。「以前は吸っていたが、今はもう禁煙した」と安心している方も多いと思いますが、喫煙によっておおもとの細胞へのダメージがあると、そこから作られる精子にも異常が出てくる可能性があります。ただ、精子は次々に作られるので、禁煙から3ヶ月以上経過した精子は喫煙による影響が少ないとも言われています。

3.タバコはEDを引き起こす。

男性の場合、喫煙により精子濃度が15〜25%減少、精子の運動率10〜17%減少すると言われ、精子自体がダメージを受けてしまうのです。さらに、精子のDNA損傷率が増加することにより流産率が上昇すると言われています。
また、ニコチンには血管収縮作用があります。男性器の血流が悪くなり、ED(勃起不全)の原因になることもあります。ED患者の80%が喫煙者というデータもあるほどです。

4.パートナーにも影響

喫煙や受動喫煙によって卵子自体がダメージを受けて死んでしまいます。卵子の新しく作られることは無いので、減る一方です。喫煙や受動喫煙により減少速度が加速し卵巣機能の低下、着床率も悪くなります。
ベランダや外で吸っても肺の中には有害物質が残り、その呼気を吸引した奥さん被害を受けることにます。

5.生まれてくる赤ちゃんにも影響

喫煙によって明らかに増加するのが先天異常になります。全体の20〜30%の先天異常は、喫煙が原因となっている可能性を指摘されています。
また、受動喫煙により副流煙にさらされると死産のリスクが23%上昇します。さらに子供の性格にも影響を及ぼします。攻撃的になったり、注意欠陥多動性障害(ADHD)が増えるという報告もあります。

まとめ

喫煙者の全てが不妊になるわけではありません。元気な子供を授かることができた方もたくさんいらっしゃいます。しかし、喫煙・受動喫煙で妊娠率が落ち、先天異常が増えてしまう現実を他人事にしてはいけません。自分のパートナーだけでなく、会社の同僚や街中の妊婦さんに配慮してみてはいかがでしょうか。


参考文献
データから考える 不妊症・不育症治療−希望に応える専門外来の診療指針

Edit : Suzuki
Write : Suzuki,Kurohara

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