鍼灸で流産は防げるの?それともただのおまじない?

鍼灸で流産予防【コラム・東京鍼灸】

はじめに

自然妊娠でも、人工授精でも、体外受精でも、とても心配になってしまうのが、流産です。西洋医学ではそのほとんどが「染色体異常」といわれています。それでは東洋医学はどういった考えを元に流産をとらえるのでしょうか?今回は東洋医学の視点から流産を紐解いてみましょう。

流産・早産とは?

流産とは、妊娠22週未満で分娩してしまうことをいいます。妊娠した人の約1割にみられるといわれています。一般的に下腹部痛と出血が起こります。すぐに横になって安静にしても痛みや出血が治らないときは、すぐに病院へ行きましょう。
早産とは、妊娠22週〜36週で分娩することをいいます。激しい運動や、精神的に大きなショック、転倒など明らかな原因がないのに、流産や早産をしてしまうことがあります。このような原因不明の流産や早産を防ぐためには、母体の健康状態を良好に保つことがとても大切です。東洋医学・鍼灸には「安胎作用」と呼ばれることがあるほどで、胎児に悪影響を及ぼす母体の体質を改善させるのに非常に適しています。

みいさん

せっかく着床したのに、流れちゃったら悲しいにゃ。絶対にイヤだにゃ。

先生

確率論でいってしまうと流産は少なくないのです。年齢が高くなるほど確率も高くなります。そのほとんどは、染色体異常が原因といわれ、受精卵になった時点からその運命が決まってしまいます。染色体異常の場合はいくら鍼をしても意味がないと私は考えていますが、母体の体調を整えることは安産に繋がります。1%でも流産をする確率を下げるためには母体は健康でいなくてはいけませんね。

東洋医学でみる流産

古人いわく「胞脈は腎に系る。衝脈・任脈の二脈はともに胞中より起こる」。胎児は母体の中ではすべてを母体の腎系に頼っており、気を作り、血を養い、衝脈・任脈がこれを固摂する。母体の腎気が壮健で、気血が充実していれば、衝脈・任脈は通り旺盛になって、胎児は固摂され母体も安全である。しかし、父母が先天的な腎虚や脾腎不足、気血虚弱がある、あるいは妊娠後打撲や捻挫をしてしまう、などで衝脈・任脈を傷め、胎児を固摂できなくなると、滑胎が起こる。

※中医学教科書シリーズ2中医婦人科学引用

みいさん

にゃ!!なんだかわけがわからないにゃ!!

先生

そうですよね!わけがわからなくて当然です!難しい考え方ですので、簡単な事だけお話していきます。

まずは「腎」を整えること!!

東洋医学の流産のとらえ方として、「腎」がとても大切なキーワードとなります。「腎」には先天の性といって、生きる力である生命力が蓄えられています。胎児はその生命力を母体から受けとることで、成長すると言われています。しかし元々、父親や母親のどちらかの「腎」に蓄えられた生命力が不足していることで生命力が胎児に行き渡らない状態になり、流産や死産に至ってしまうと考えられています。その生命力の通り道を衝脈・任脈といい、この通り道の流れが思わしくない場合でも流産や死産に至ることがあるとされています。

体質改善がとても大切

「腎」が弱り、流産に結びつきやすい方の特徴として冷え性むくみがあげられます。これを放置していると胎児に悪影響を及ぼすおそれがあるといわれています。これらの体質を改善し、健康を維持することを第一に考え対処していきます。

冷え性の場合

冷え性があると血流が悪くなり、胎児に十分な栄養が届かなくなるため、胎児の発育に影響を与える場合があります。適切なツボを刺激することで、体を温め、血流を良くして母体の安定を図ります。冷え性の人は、もともと体が強くないことが多いため、体全体の活力を高めることも目的となります。

むくみやすい、水分代謝が悪い場合

水分代謝の悪さから、冷え性がおきていることもあります。水分代謝の悪さは下半身を冷やし、妊婦にとって禁物の腰の冷えを招くことがあります。適切なツボ刺激により、余分な水分の代謝・排出を促し、母体の水分代謝の安定を図ります。

みいさん

冷え性でむくんでる私は最悪だにゃ!心配になるにゃ!

先生

冷えやむくみがあっても、きちんと出産している方もたくさんいますので、そんなに心配なさらないで下さい。闇雲に悩むよりもしっかりとご自身の現状を知って対処することが大切なのです!

ツボについて

中極(ちゅうきょく)・然谷(ねんこく)へのお灸が早産、流産に有効とされています。それぞれ、骨盤内の血流を促進し、生殖機能を正常に保つ働きがあるため、早産、流産の防止に役立ちます。また、母体の「気」・「血」を促し、体全体の活力を高めてくれるツボでもあります。

中極(ちゅうきょく)
お臍から指幅6本分、真下にあるツボ
然谷(ねんこく)
足の内側面にあるツボ。内くるぶしの少し下から、親指幅分つま先側にいった骨の出っ張りのすぐ下。

食事について

妊娠中は、体を冷やす食べ物はなるべく避けましょう。過剰な塩分も、体に余分な水分をためてしまう原因になり冷えやすくなることがありますので、避けましょう。胎児の発育を良くする安胎作用を高める食べ物として、黒豆・キクラゲ・マトンなどが良いとされています。黒豆は利尿作用に優れ、妊娠中毒症のむくみに効果があります。胎動でお腹が痛む時にも食べると良い食べ物です。しかし、食べ過ぎはお腹の張りが出ますので注意してください。キクラゲは、血液のデトックスや止血作用に優れています。胎児の発育を促してくれます。マトンは、食べ物の中でもとくに体を温める作用が強い食べ物です。北国の人がマトンを好んで食べるのはそれが理由です。

先生

妊娠したら、母体の免疫力は下がりますので、生ものを食べるのは避けて下さいねー!!もちろん、みいさんの大好きなお刺身もですよー!!

みいさん

にゃに!?!?!?!?!?

みいさん

元気な赤ちゃんを産むまでがんばるにゃ!

まとめ

流産・早産防止の鍼灸はおわかりいただけましたでしょうか。今回、ご紹介したツボは一般的に使用されているツボです。ご自身のセルフケアに役立ててください。お灸をする場合は低い温度のものをご使用下さい。またペットボトルにお湯を入れて、ツボに当てることも効果的です。当院の治療は、東洋医学でお体を分析し、それぞれのお体に合わせたツボに、妊娠13週〜14週目まで施術を受けて頂くことで、流産・早産の防止をしています。流産の原因として染色体異常の場合もありますが、母体の健康を第一と考えると東洋医学での体質改善・健康管理がとても役に立ちます。妊娠〜出産までに不安のある人は鍼灸院や漢方を頼ってみましょう。

※東洋医学をもとにした当院の解説であり、効果を保証するものではございません。

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