はじめに
甲状腺機能異常をご存知ですか?バセドウ病や橋本病などをいいます。
シンガーソングライターの絢香さん、X-JAPANのYOSHIKIさん、サッカー元日本代表の本田圭佑さん、など名だたる芸能人やスポーツ選手も、甲状腺の病気を抱えながら活動されています。バセドウ病や橋本病は甲状腺機能異常の1つですが、今回は甲状腺機能異常により生じる不妊のリスクをお話ししたいと思います。
テレビで聞いたことがあるにゃ!でも、甲状腺って何かにゃ??
甲状腺は喉にある臓器です。甲状腺のトラブルは芸能人やスポーツ選手もを悩ませているんですよ!
甲状腺機能異常とは?
甲状腺はのど仏の下にある蝶々が羽を広げたような形をした臓器のことを言います。甲状腺は身体の新陳代謝をコントロールしてる重要な臓器になります。これらの病気は主にバセドウ病(甲状腺機能亢進)、橋本病(甲状腺機能低下)に分けられます。
バセドウ病(甲状腺機能亢進)
パセドウ病とは、自己免疫疾患の一つで、体内で甲状腺を刺激する物質がつくられるために自身の甲状腺が過剰に刺激され、甲状腺ホルモンが通常よりも多く分泌してしまう状態です。
特徴的な症状
多汗・疲れやすい・暑がり・頻脈・動悸・イライラ・手足の震えなど
橋本病(甲状腺機能低下)
橋本病とは、体内に甲状腺を攻撃する物質ができることで甲状腺がダメージを受けてしまい、発症する自己免疫性疾患の一種です。成人女性の約7〜8人に1人が橋本病の素質をもっています。
これにより甲状腺ホルモンが出なくなるため、甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモンが大量に放出されます。すると、同時にプロラクチンの分泌も促進させることになり、結果的に高プロラクチン血症も引き起こされます。そうなると、『卵巣への抑制』が働くようになりますので排卵障害や無月経になり、不妊症にもつながってしまうのです。
特徴的な症状
減り食べないのに太る・寒がりになる・便秘・脈が遅くなる・むくみなど
不妊のリスク
甲状腺異常が起こると全身のホルモンバランスが乱れ、ホルモンの分泌にも支障をきたします。甲状腺のホルモンは『成長を促す』作用もあるので、卵胞の成長にも関わっています。甲状腺機能低下症になると、卵胞は発育することができないため、無排卵などの月経異常を引き起こします。また、甲状腺機能亢進症になると、月経期間が短くなる傾向があります。
甲状腺異常でも不妊になっちゃうの!?
そうなんです。甲状腺異常はれっきとした不妊の原因ですよ!
妊娠初期
妊娠前に問題になるのは主に甲状腺機能低下症であり、不妊症や流産・早産と関与しています。甲状腺機能低下症に対する薬品治療を行ったことによって受精率と着床率が改善して、妊娠率が上昇するという報告もあります。
妊娠後
胎児甲状腺が働き始めるのは3〜4ヶ月ごろからであり、それまでは母体から移行する甲状腺ホルモンに依存してます。母体の甲状腺機能低下症により胎児への甲状腺ホルモンの供給不足になると、胎児の脳や神経発達や胎盤形成に問題が生じてしまい、出生した児の知能に影響し、IQが低下する可能性があります。さらに流産・早産、妊娠高血圧症候群、子宮内胎児発育遅延、胎盤早期剥離などの合併症も報告されています。
まとめ
当院でのことですが、なかなか妊娠できず、ステップアップを検討していた患者様に、クリニックでの検査を進めたところ、甲状腺機能異常がみつかりました。そして、それを治療したところ、すぐに妊娠できた方もいらっしゃいました。甲状腺機能異常は自覚症状が分かりづらい場合が多く、見落とされているケースも少なくありません。もし、妊活に行き詰まった時、一度検査をしてみると良いかも知れません。