はじめに
女性特有の機能である”おりもの”。今回は”おりもの”を西洋医学と東洋医学の視点で見比べてみましょう。
西洋医学からみた”おりもの”
”おりもの”とは、分泌物の集合体です。子宮頸部、子宮内膜、膣から出る酸性の物質で、膣内部を潤わせて粘膜を守る働きや、子宮内部にバイ菌が侵入するのを防いだり、汚れを排出するなどと、女性の体を守る大切な役割をはたしています。また排卵時はゼリー状に変わり精子を受け入れやすくしてくれています。そのため、本来なくてはならないものですが、多すぎたり、色が普段と違うなど、なんらかの病気のサインになるので見逃さないようにしましょう。
病気の可能性がある”おりもの”
白くて豆腐のかすのようにボロボロしている場合
カンジダ膣炎の可能性が考えられます。
黄色か緑色で、細かい泡が混じることもある
トリコモナス膣炎の可能性が考えられます。
黄緑色で膿のように見える
単純性膣炎、子宮頸管炎、淋病、クラミジア感染症などが考えられます。
茶褐色かピンク
子宮頸癌、子宮体癌子宮筋腫、子宮頸管炎、子宮頸管ポリープなどが考えられます。
東洋医学でのおりものとは
東洋医学では、おりもののことを”帯下”といい、主に帯下の量・色・質・におい、などの特徴に合わせて全身症状や舌象・脈象などを総合的に分析して虚・実・寒・熱を弁証し、お体の状態を推察します。
色
昔の人は白・黄・赤・ 青・黒の五色あると言っていたそうですが、一般には白色が正常です。白色でも湿濁・寒湿・脾虚・腎虚と関係することもあり、また黄色や赤色と濃くなる場合は湿熱・熱毒が関係します。
におい
一般的に、においは無いのが正常です。においがある場合の多くは実証・熱証で、生臭かったり悪臭の場合は悪性疾患も考えられるので要注意です。
質
粘るか稀薄かのちがいで、一般に粘りが強いときには実証・熱証、稀薄なのは虚証・寒証とみます。豆腐状のものはカンジダによる腟炎で、やや粘り泡状のものはトリコモナスが原因です。
量
多い場合は主に「湿濁」によるもの。「湿濁」は脾虚や腎虚から生じるが、黄色であったりにおいが強いものは生殖器の炎症(細菌・真菌感染など)が考えられる。
その他
少ない場合は腎精の不足による。つまり女性ホルモンの低下が主な原因と考えられます。早発閉経や排卵機能の低下時にみられます。
まとめ
東洋医学と西洋医学の観点を簡単に説明させていただきました。東洋医学は検査やお薬が無かった時代に発展し、皆様の健康を支えてきました。おりものや月経血の質や色、においなどから、お体の状態を推察します。その上で鍼灸では360個以上あるツボから”ここ”というツボを見つけ出し施術をしております。東洋医学を受けたことがない方も、これを機に試してみてはいかがでしょうか。